進路研究に勤しむ皆さん。
「物理学科」についてどれぐらい理解していますか?
とりあえず、Googleで「物理学科」と検索をかけてみたら、
上位検索に「物理学科 やばい」と出てきて驚いた方もいるのではないでしょうか。
物理学科への進学を考えている人は心配になりますよね。
そこで・・・。
物理学科についてネガティブな発信をしているサイトを10記事以上分析し、
ヤバいとされる主な理由を5つ洗い出してみました!
これらについて、現役物理学生の視点から実態とその見解を示したいと思います。
先に総括を言いますと、物理学科は全くヤバくないです!
皆さんの誤解を一つずつ紐解いていければなと思います。
では、早速いってみましょう~。
数学ばかりで嫌になる
1つ目は、数学についてです。
皆さんはこんな言葉を聞いたことはありませんか?
「理学部では、生物は化学に、化学は物理に、物理は数学に、数学は哲学になる。」
ユーモアたっぷりの表現ですね笑
こう言われる理由は、以下の関係があるためです。
生物 → 生化学の導入
化学 → 量子力学の導入
物理 → 道具である数学の種類が格段に増加する
数学 → 抽象的な定義・定理を厳密に議論する
この関係にもあるように、大学物理の議論には数学が欠かせないものになってきます。
大きな理由は次の2点です。
・現象の「変化」を捉える学問であるため
・「大きさ」による議論から「ベクトル」による議論に移行するため
物理学にとって数学は現象を記述するためのツールです。
数学科で求められるような厳密さよりは、むしろ広い分野の手法を実際的に使えることが求められます。
1~2年生の頃は何をやっているかわからなくても全然大丈夫です ^^
この間は、線形代数やベクトル解析、フーリエ解析、微分方程式が使いこなせるようになっておきましょう。
いずれ、物理の理解が数学の理解を生み出すときがやってきます。
物理学科への進学を考えている方は、数Ⅲはある程度できるようにしておきましょう。
諦めず・粘り強く、数学をツールとして使いこなせるように頑張ってくださいね!
実験が辛い
2つ目は、実験についてです。
1~3年生の間に基礎的な実験を行ないますが、毎日実験をしているわけではなく、各年次の半期に授業として行っている程度です。
【例】
授業名:物理科学実験Ⅰ
時期:2年生前期の前半
日時:木・金曜日に3時限分ずつ、計6時限
また、4年生になると研究室に配属されます。
実験系の研究室に配属にされれば、ほぼ毎日実験することになりますが、理論系の実験室に配属されれば実験することはありません。
実態はこんな感じです。
前述の通り、授業でやる実験に困難なものはないので、辛くなることはまずないでしょう。
しかし、研究室レベルになるとかなりの根気が必要になるので、実験嫌いの人は辛いと感じるかもしれません。
ですので、授業の段階で「実験するの退屈だな、面白くないな」と思ったら、必ず理論系の研究室に行くようにしてください。
理論にも面白い研究テーマ(素粒子など)がたくさんあります!
実験が苦手な方も物理学科にぜひおいでませ ^^
女子学生との出会いが少ない
3つ目は、出会いがないことについてです。
すいません、これはもうその通りです泣
理系である誇りをもってこの事実を受け入れてくださいとしか言えません!
しかし、どうしても出会いが欲しい悩める高校生の皆さん。
安心してください。
総合大学(色んな学部がある大学)なら多少の希望はあります・・・。
サークルや部活、教養科目、バイトなどで(一応)出会いがあるからです!
素晴らしいですね。
しかし、光もあれば闇もある。
特に、理・工学系の単科大学には注意しましょう・・・。
冗談抜きで男しかいないので、入った段階でほぼ詰みます。
ですので!
彼女が欲しい方は、総合大学の理・理工学部の物理学科を目指すようにしてください!
そうすれば出会いはありますから。後はあなたの努力次第です!
実学に結びつかない
4つ目は、実学に結びつかないことについてです。
これもその通りだと思います。
しかし、そもそも物理屋さんは「お金のため」とか「世の中のため」とかそんな大それたことは考えていません。
「己の知的好奇心を満たす」
これが全てなんです。
実学に結びつけたいと考えているのであれば、恐らく理学部物理学科は向いてません。
そのような儲け主義は教授とのミスマッチにも繋がります。
「本当にしたいこと」は何なのか、進路研究の段階でよく考えてみましょう。
物理を学びたいけど実学にも結びつけたいという人は、工学部を視野に入れることをおすすめします!
就職先がない
5つ目は、就職先についてです。
結論から言いますと、物理学科だからといって就職先に困ることはまずないです。
たとえ、理論しかやってこなかったとしてもです。
「手に職がないから厳しいのでは?」と思う方もいるでしょう。
しかし、よく考えてみてください。
つい最近まで大学生をしていた新卒が即戦力になる仕事ってあると思いますか?
ないですよね。
現在、大学(学部)は「基礎」であり、素養として評価されています。
ですから、特別な場合を除けば学科はあまり影響しません。
企業が理系学生に期待する能力は、基礎的な学力や論理的な思考力、自分で判断して行動する能力です。
これらを十分に培った物理学科卒業の学生には、他の理系学科同様に旺盛な需要があります。
さらに言えば、物理学科も今ではプログラムを用いたシミュレーションやデータ解析を行いますから、IT関連の企業に就職する人も一定数います。
就職先がないというは、単なる準備不足に過ぎないように思います。
この辺りは心配しなくて大丈夫だと思いますよ。
まとめ
では、ここまでの内容を簡単にまとめます。
【数学について】
・大学物理では数学をツールとして用いるため、広い分野の手法を実際的に使えることが求められる。
【実験について】
・研究室レベルの実験は、実験嫌いの人には辛い可能性があるため、1~3年生の間に実験の適正を判断し、ない場合は理論系の研究室へ。
【出会いについて】
・総合大学かどうかを確認すること。単科大学には殆ど出会いなし。
【実学との結びつきについて】
・物理に儲け主義は当てはまらない。実学に結びつけたい場合は工学部へ。
【就職先について】
・特に心配しなくて良い。
まとめは以上になります。皆さん、いかがだったでしょうか?
少しでも進路研究のお役に立てたなら幸いです ^^
他にも物理学科に関して聞きたいことがある方は「お問い合わせ」から気軽にご連絡ください!
最後になりますが、物理学科とよく比較される数学科を交えつつ、授業内容や学生生活、具体的な就職先などの詳細を以下の記事にまとめています。
興味のある方は、こちらもぜひ御覧ください!
以上で終わります~。
最後まで見ていただき、ありがとうございました!!